兵庫県宝塚市、雲雀丘花屋敷駅近くにある喫茶店です。

我々に与えられたのは洞窟のように奥に深いテナントスペースでした。スペースの奥に窓は一切無く、自然光は手前からしか得ることができません。そこでまず、この暗がりを消去するために既存躯体をぐるりと白く塗り込めました(真綿を引き延ばして壁面や天井に巻きつけるように)。一方、新たに必要となる厨房や便所・倉庫を囲む壁は黒色で塗り込めます。この黒壁は絵画における画板への下塗りと同じく、我々も知り得ない、これからやってくる何かを予期するものとなります。(後日、オーナーの意向で大きな象の絵が描かれる運びとなった)

表通りに面する出入口扉は黒色の木製枠としています。この木製枠は絵画における額縁となり、下準備を行う店主を縁取ります。

店を後にし、あらためて外部から内部を覗き見れば、洞窟のように複雑な奥行を持った一枚の絵画としてその場を再認識することができるでしょう。ふくよかな珈琲の香りを放つタブローとして、これからも町に佇み続けます。

 

竣工  :2020年
場所  :兵庫県宝塚市雲雀丘2丁目1-3-101
設計  :髙橋功治アトリエ
施工  :株式会社アクティブ装工
写真撮影:多田ユウコ

珈琲茶庵 https://www.cafesaan.com/