大阪湾にほど近い住宅密集地に建つ、3階建て木造住宅の内装全面改修。室内の仕上げ材を全て撤去した上で耐震補強を行い、間取りを全面変更することが求められた(但し外部には一切手を加えない)。

まず先に、浸水(天災などによる水害)の事を考えれば、守るべき家財・荷物はなるべく標高の高い位置、つまりは最上階(3階)に据え置くことが望ましい様に思われた。よって変更後の間取りは1階に車庫、2階は入浴・排泄・就寝の場、3階には台所・食事室・居間・作業スペース等を置き、最上階を生活の中心拠点としている。

3階には間仕切り壁や建具を設けず、壁面一杯に大容量の収納を計画している。この収納は「作業机/アルコーブ/本棚/家電収納/小物陳列棚」等、生活に合わせて雑多に機能する。言うなれば開放された押し入れ、または家中の事物をたっぷりと飲み込むことができる蔵・収蔵庫のようなアーカイブ装置として鎮座する。

天井は一部勾配天井とし、既存の小屋梁・小屋束を露出させている。これら既存の屋根構成部材は、ここが水害とは無縁の地、つまりは「小屋裏」であることを住民に明示し続けるだろう。

 

竣工  :2021年
場所  :大阪市港区
設計  :髙橋功治アトリエ
写真  :多田ユウコ